
「春風物語 恋の呂昇」@京都四條南座

奇しくも千秋楽に観劇。千秋楽はいつもとなんとなく雰囲気が違っていて好きなのです。
さて、二月に引き続き藤山直美さん主演のお芝居です。「春風物語 恋の呂昇」。
今回は張り込んで一等席。なんと2列目ど真ん中!千秋楽ということもあってか、周りは相手役の坂東薪車さんのファンとおぼしき方々が「今日で何回目?」だなんて話してらして、若干居心地が悪かったです
明治から大正時代に実在していたという娘義太夫の豊竹呂昇さんの物語。いわゆる「芸道もの」です。それに「女の幸せ」というものを取るか、芸を取るか、といった話も絡んできます。
義太夫にのめり込み三味線を手放さないことからも嫁ぎ先から離縁された呂昇は、義太夫の大名跡豊竹呂太夫に弟子入りし、「自分には義太夫しかない」と脇目もふらず修業の日々を送っている。ある雪の日、木戸銭を払えないからと小屋の外からででも名人、越路太夫の「壷坂」を勉強しに大阪の御霊文楽座にやってきたところ、駆け出しの人形遣いでまだ足しか遣わせてもらえない玉二郎(坂東薪車)と出会い、立売堀での夜間の稽古を積み重ねるうちに2人は惹かれ愛し合うようになる。しかし、ある時先輩の意地悪により舞台で三味線の糸が切れたことを、師匠から三味線がなくともなぜ義太夫で最後まで語らなかったんだ、慢心のせいだ、と叱責され、呂昇は破門を言い渡される。
「芸道もの」ではあるのですが、直美さんのお芝居なので笑いも随所にちりばめられていました。そしてラストにかけては「凄み」がビシバシと伝わってきて、圧倒されてしまいました。
破門された直後、おかみさんからの「あんたをなぐさめてくれるんは「男」か「芸」か。よーぉ考えや」という言葉から嫁ぎ先に残してきた一人娘からもらったお手玉を持つ手、玉二郎との新しい稽古場である高津宮へ2時間遅れで三味線を抱えてやってきた時の登場の仕方。この一連の流れの間に自分の決意をはっきり示す台詞はありません。でも、呂昇は芸を選んだということが明確にわかるのです。それからは、玉二郎に対してはまるで手のひらを返したかのような冷たく見える態度。これは芸の道では真打であり、玉二郎とは立場が全然違うということから出てくる態度であり、そのような立場で玉二郎に「中途半端」だのなんだのと容赦ない言葉を浴びせます。もちろん「貴方のために言っているのだ」ということを滲みだしながら。
この辺りの呂昇の台詞はまるで私に言われているような感じがし、「あんたはいつまで中途半端でいるんや。どうのこうのと言い訳ばかり並べ立てて!いい加減地に足つけ!いつまでフラフラしてんのや!」と脳内変換されていました。きつかったです。やりたいことがはっきりあるのに「安定」に安住してしまってそれもストレスの大きな原因になっていますので…
高津宮での最後のシーン。夜桜の下での独白。凄かったです…
<番外編>
・部屋を出ようとして柱におでことぶつけて笑いを取るのはお約束。
・いい味を出していて「この人誰だろ?」と思っていた上杉祥三さん。どうやら酔っていたらしい…祥三さん→直美さん→新車さんと笑いが伝染し、「玉二郎さん、あなた声を出して笑っていたでしょう?」というアドリブが呂昇から発せられていた。祥三さん、入川保則さんとの花道でのシーンでもかな~りテンションが高く、酔ってる、と突っ込まれていた。(こういうのは好きです)
・吉本ロイヤルファミリーのご長男!声が大きいのはいいことだと思います。しかし…もうちょっと何とかしてほしかった。
・呂昇の夢の中のシーン。玉二郎との人形振りが出てくるのですが、ここで客席からクスクスと笑いが。まったく笑うシーンではないっ!関西の劇場でありがちなのですが、笑う場面でないところでも笑いが出てしまう。ここは「人形振り」というのを知らないがために出た笑いだと思われる。いい場面なのに悲しかった。
・お二人の踊りの場面、所作がすごく綺麗なこともあり、素敵だった。
このお芝居、新派でも上演されていたとのこと。一体どなたが呂昇の役をされたのでしょうか?気になるところです。
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さて、二月に引き続き藤山直美さん主演のお芝居です。「春風物語 恋の呂昇」。
今回は張り込んで一等席。なんと2列目ど真ん中!千秋楽ということもあってか、周りは相手役の坂東薪車さんのファンとおぼしき方々が「今日で何回目?」だなんて話してらして、若干居心地が悪かったです

明治から大正時代に実在していたという娘義太夫の豊竹呂昇さんの物語。いわゆる「芸道もの」です。それに「女の幸せ」というものを取るか、芸を取るか、といった話も絡んできます。
義太夫にのめり込み三味線を手放さないことからも嫁ぎ先から離縁された呂昇は、義太夫の大名跡豊竹呂太夫に弟子入りし、「自分には義太夫しかない」と脇目もふらず修業の日々を送っている。ある雪の日、木戸銭を払えないからと小屋の外からででも名人、越路太夫の「壷坂」を勉強しに大阪の御霊文楽座にやってきたところ、駆け出しの人形遣いでまだ足しか遣わせてもらえない玉二郎(坂東薪車)と出会い、立売堀での夜間の稽古を積み重ねるうちに2人は惹かれ愛し合うようになる。しかし、ある時先輩の意地悪により舞台で三味線の糸が切れたことを、師匠から三味線がなくともなぜ義太夫で最後まで語らなかったんだ、慢心のせいだ、と叱責され、呂昇は破門を言い渡される。
「芸道もの」ではあるのですが、直美さんのお芝居なので笑いも随所にちりばめられていました。そしてラストにかけては「凄み」がビシバシと伝わってきて、圧倒されてしまいました。
破門された直後、おかみさんからの「あんたをなぐさめてくれるんは「男」か「芸」か。よーぉ考えや」という言葉から嫁ぎ先に残してきた一人娘からもらったお手玉を持つ手、玉二郎との新しい稽古場である高津宮へ2時間遅れで三味線を抱えてやってきた時の登場の仕方。この一連の流れの間に自分の決意をはっきり示す台詞はありません。でも、呂昇は芸を選んだということが明確にわかるのです。それからは、玉二郎に対してはまるで手のひらを返したかのような冷たく見える態度。これは芸の道では真打であり、玉二郎とは立場が全然違うということから出てくる態度であり、そのような立場で玉二郎に「中途半端」だのなんだのと容赦ない言葉を浴びせます。もちろん「貴方のために言っているのだ」ということを滲みだしながら。
この辺りの呂昇の台詞はまるで私に言われているような感じがし、「あんたはいつまで中途半端でいるんや。どうのこうのと言い訳ばかり並べ立てて!いい加減地に足つけ!いつまでフラフラしてんのや!」と脳内変換されていました。きつかったです。やりたいことがはっきりあるのに「安定」に安住してしまってそれもストレスの大きな原因になっていますので…
高津宮での最後のシーン。夜桜の下での独白。凄かったです…
<番外編>
・部屋を出ようとして柱におでことぶつけて笑いを取るのはお約束。
・いい味を出していて「この人誰だろ?」と思っていた上杉祥三さん。どうやら酔っていたらしい…祥三さん→直美さん→新車さんと笑いが伝染し、「玉二郎さん、あなた声を出して笑っていたでしょう?」というアドリブが呂昇から発せられていた。祥三さん、入川保則さんとの花道でのシーンでもかな~りテンションが高く、酔ってる、と突っ込まれていた。(こういうのは好きです)
・吉本ロイヤルファミリーのご長男!声が大きいのはいいことだと思います。しかし…もうちょっと何とかしてほしかった。
・呂昇の夢の中のシーン。玉二郎との人形振りが出てくるのですが、ここで客席からクスクスと笑いが。まったく笑うシーンではないっ!関西の劇場でありがちなのですが、笑う場面でないところでも笑いが出てしまう。ここは「人形振り」というのを知らないがために出た笑いだと思われる。いい場面なのに悲しかった。
・お二人の踊りの場面、所作がすごく綺麗なこともあり、素敵だった。
このお芝居、新派でも上演されていたとのこと。一体どなたが呂昇の役をされたのでしょうか?気になるところです。
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